『代替わり』067〜083話




 服部平左衛門との果し合いに勝った五郎左は、無理之助らと祝い酒を酌み交わしていた。そこへ、故信定の妻・いぬいが死んだという報せが入り、根小屋の武者たちは戦準備にとりかかる。

 無理之助によると、若い当主(三郎信秀)の守り役だったいぬいがいなくなれば、四方から敵が攻めてくるという。
 それを聞いた五郎左は逃げようとするが、意外坊につかまってしまう。
 意外坊は、織田弾正忠家のために戦うことを強いる。兵法者は個と個の戦いには強いが、対集団には役立たないという五郎左に対し、意外坊は闇討ちを打ち明ける。

 織田大和守達勝の重臣に坂井一門がある。永享年間に、尾張の貴族荘園を横領した悪党とされているが、この坂井家が実質、大和守家を動かしている。
 当代・孫八郎の子、鉄夜叉丸が父親に戦をけしかけているため、その鉄夜叉丸を討て、と意外坊は言う。
 鉄夜叉丸の母は鍛冶師の子で、この鍛冶師が戦道具を作る根鍛冶と言われている、戦にも出る職人だった。その縁で坂井家は鍛冶師とつながり、大和守家内での地位を築いたのだった。

 根小屋の武者たちは、鉄夜叉丸を討つことに賛同した。そこへ三郎信秀が登場し、傭い武者の扮装で参戦すると宣言した。
 起請文を書き上げると、一同の戦意は高揚した。

 意外坊の作戦通り、熱田社詣でを装い、敵地・金山に赴いた一同。
 次々と鍛冶師たちを討ち、ついに五郎左が鉄夜叉丸を討った。屋敷を焼き払う前に鉄夜叉丸が囲っていた白拍子たちを逃そうとしたところ、白拍子の中に夢の中でみた「天女」を見つけた。しかし「また会いましょう〜」と一方的に言い去られてしまう。

 屋敷に火をかけ、一同も引き揚げたが、途中、鉄夜叉丸の首をさらすと「含み状」を口に押し込んだ。
 勝ち戦に興奮していた五郎左は、三郎に「殿」と呼びかけ、天下をとる気構えを持つよう進言する。



*小説中に、坂井大膳の名前が唐突に出てきますが、この人物関係が今イチわかりません。
 先代:大膳、
 当代:孫八郎、
 その子:鉄夜叉丸、
 だと思うのですが、鉄夜叉丸は大膳が白拍子に産ませた子らしくorz
 この先代の大膳が、"清洲方として信秀の古渡城を攻め、和睦するが、信長の代になって叛旗を翻した"、その大膳ですよねぇ?
 でも、信秀の時代には既に代替わりしている??
 ・・・どなたかおわかりになる方、教えてください。



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