開放








 車に寄りかかる直江の姿は、寒さのあまり硬くなっていた美弥の顔をほころばす。

 あの黒いロングコートに包まれたいと思いながら、美弥は直江に声をかける。

 「直江!」

 直江はたばこの火を消して美弥のもとへ寄り、赤い頬を両手で包んだ。

 「美弥さん、こんなに冷たくなって」



 「直江の手、あったかい・・・」

 美弥は微笑んだ。

 「直江、コートで包んで!」

 「こうですか?」

 そう言って直江はコートを広げると、美弥を包むように前を合わせた。

 「直江のにおいがいいぃ・・・」

 目を閉じた美弥がこのまま寝てしまうのではないかと危惧する直江は、「早く、どこか暖かいところに行きましょう」と美弥を助手席に乗せた。
 クリスマス連休前の混雑する駒沢通り。直江は、美弥を乗せたウィンダムをすべるように発進させた。





 シートに身体を預けた美弥は、吸い込まれていくかのような心地よさを感じていた。
 直江の運転する車の助手席に乗ることが、美弥は好きだった。どの車でも、助手席の乗り心地は変わらずに良かった。






 「美弥さん」

 チラと助手席を見た直江は、道路のはしに車を止めた。


 「美弥さん。・・・眠ってしまいましたね」

 深夜、歩道を歩く人は、ほとんどいない。
 直江はシートベルトを外すと、助手席の窓に手をつき、美弥の唇に自身のそれを重ねた。
 冷えきった美弥の身体に温かい空気を送りこむかのように、何度も唇を重ねた。


 「ん・・・」

 美弥の苦しそうな表情を見て、直江は名残惜しそうに唇を離した。

 「なお・・え・・? どこ、ここ・・・?」

 「まだどこにもついていません。・・・続きは後でのお楽しみにしておきましょう。美弥さん、どうぞ、休んでいてください」

 気持ちは逸るが優しく、直江はウィンダムを走らせた。
 









 一糸もまとわない姿でベッドに横たわる美弥を、直江は眺めていた。

 「やだっ、恥ずかしい・・・」

 「なぜ恥ずかしがるのです? きれいなのに」

 「え・・・」

 直江に「きれい」と言われることは、嬉しいというよりも、むしろ恥ずかしくあった。

 「そんなに不安にならなくても、大丈夫ですよ。あなたはきれいですよ」

 恥ずかしそうに視線をそらす美弥の唇へ、自身のそれをおとす。首筋から胸元へ、触れれば美弥の上半身は跳ねた。
 直江は、美弥が求めているのを感じ、さらに深く、唇を重ねた。



 直江の手は美弥の陰部をまさぐる。

 「はんっ・・・」

 繁みをかきわけるかのようになで、秘所をさわれば、蜜があふれ出た。



 直江は、今にも泣き出しそうな顔をしている美弥に、体液で濡れた指を見せながら、言う。

 「こんなに感じてる・・・」

 「やっ・・・」

 美弥は恥ずかしさのあまり、顔を真っ赤にした。





 首、胸、腰へと唇を落とし、蜜があふれる秘所に唇を押し当てる・・・。





 「あんっ・・・」

 陰部を上下になめ、時に吸いこむ。

 「あぅっ・・・」


 美弥は直江の頭をかき抱いた。






 「あ・・・だめっ、もう・・・」


 「美弥さん。欲しい、って言ってごらんなさい」

 恥ずかしさで直江から目をそらそうとする美弥に、たたみかけるように言う。

 「ちゃんと、欲しい、って言ってごらんなさい」



 「ほしい・・・

 「何が欲しい?」

 美弥は言えない。

 「ほら、ちゃんと言ってごらんなさい。そうでないと、あげませんよ」



 「直江が・・・ほしい・・・

 「よく言えました」



 直江は美弥の膝を軽くもちあげると、自身を押しあて、そのまま奥深くへ入れ込む。

 「はぁ・・・ん」

 美弥の口から漏れる気だるげな声、潤んだ瞳は、直江の情欲をそそる。
 直江は、自身をぎりぎりまで引き抜いたり、押し込んだり、それを繰り返す。激しく動かせば美弥の声は高まり、苦しそうな表情をみせる。
 シーツをつかもうとする手を直江は取り、指を絡ませた。

 「美弥さん・・・」



 美弥は口を半開きにしていた。
 耳元に唇を寄せ、ささやく。

 「美弥さん、もうがまんしないで」

 直江は激しく腰を動かした・・・。




 「んはっ・・・んっ・・・美弥さんっ!」

 「はぁっ・・・直江っ・・あぁっ・・あっ!」






 美弥の目が見開き、時が止まったかのようだった。
 二人の荒い呼吸だけが、部屋に響く。










 ベッドの中で直江に抱かれている美弥は、顔を赤らめている。


 「もっと乱れたらいい。そうして開放されることも、大切ですよ」

 そう言わないと美弥の力が抜けないことを、直江はわかっている。






 「あなたの抱える気持ちごと、あなたを抱きしめましょう」






 美弥の身体から徐々に力が抜けていくのを優しく見守る直江がいる。









 裏ナカに少し書いたものをふくらませました。

 「あなたの抱える気持ちごと、あなたを抱きしめましょう」。
 この台詞を使いたかったために書きました。裏的内容でなくても使えますよね・・・(笑)。

 「何が欲しい? ちゃんと言ってごらんなさい。そうでないと、あげませんよ」。
 この台詞も使いたかったのです。この台詞は裏的内容以外に考えられませんよね、、、(汗)。
 直江(とカンベエ)にはこういうS的攻めをしてほしいし、するでしょう。
 リョウは違うと、(ナカジは)思います。

 2箇所、反転しています。(←自重)
 もちろん、反転させなくても流れています。いやむしろ、反転させない方がいいかもしれません(泣)。



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