悩ましい日々








 美弥が抱きついてきたら、オレはどうしていた? そりゃあ、抱きついてきてほしいから、見つめてたんだが・・・。
 2年前と変わらずに男を知らないであろうあいつに、わかるわけがない、男女の機微というものが。
 あいつには、ストレートにいった方がいいのか・・・おちゃらけた方がいいのか。ま、いつか通じればいいけどな。
 でも、オレとの一発なんて、想像できてないんだろうな。
 あいつから抱きついてくることなんて、ありえないんだろうな。
 だから、オレがちょっと男っ気をまとうと、あいつは固まる。
 そうかと思えば、あいつはオレのすぐ近くに普通に寄ってくるし、オレの目をじっと覗き込む。





 そんなにまっすぐな目で見つめんなよっ。全て見透かされるようだぜ。
 -----オレの「一発」まではわからないんだろうけどな。





 っつーか、そこで目を閉じるんだよ、お嬢サン。





 鈍いおまえでもな、もう子供じゃないことくらい、とっくにわかってるよ。
 人間メジャー、と言われた男だ。
 立派に「女」になってるよ・・・。





 ったく・・・オレはどこでしくじった?
 振り返ってみたところで、2年前のことなんか、覚えてねぇーなっ。それに、あいつはオレの相棒だったヤツの妹だから、もっと前から知ってるといえば知ってるわけだ。
 あいつがオレの周りにまとわりついてたのはいつからだ?
 その時から、始まってたんだな。





 とっととやっちゃえば楽だったかもしれないなっ。
 でも、数多いる女の一人にしたくはなかった。あいつの心に残る一発をしたいわけだ。あいつが、オレに抱かれたいと思ったときに抱かないと、意味がない。





 オレは保護者か?
 だいたい、オレはいつからこんなことをグダグダ考えるヤツになったんだ? 海坊主じゃあるまいし。オレの人生、本能の赴くままに、のはずが・・・!





 はぁ〜。
 何やってんだ、オレ・・・。


 ん? 海坊主は美樹ちゃんを、オレはあいつを・・・スイーパー二人して、光源氏計画が成っていた、ってことかぁ〜?










 ま、なる時にはなるもんだぜ。
 そのときまで、せいぜいお嬢さんを教育しておくとしますかっ。





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