優しい夜











 「今日は美弥がしてゆぅとおりに、したるで」
 「じゃあ・・・ギューってして、キスして?
 「えぇよ。お安いご用や」

 忍足は美弥を抱き寄せた。
 あごに手を添え、上向かせ、唇を重ねる。

 「ん・・・」
 「美弥。この後は? どないしてほしい?」
 「え・・・」

 忍足に見つめられ、美弥はうつむいた。

 「ちゃんと言わへんと、どないしたらえぇのか、わからへんで」
 「・・・先輩のイジワル」
 「美弥、簡単や。抱いて、言うたらえぇねん。したらめっちゃ優しくしたる」





 顔を赤くするだけで何も言えないでいた美弥は、忍足の首に腕をまわした。





 「オレは美弥には優しぃさかい、心ん中読みとりましょ」



 そう言って忍足は美弥のブラウスのボタンに手をかけた。重ねた唇は離さず、器用にボタンを外してゆく。
 すると、美弥は両手で忍足の頬を包み、さらに求めるかのように自分の方へ引き寄せた。
 応えるように、忍足は美弥の頭を支え、深く口付ける。





* * *





 「美弥・・・そう逃げんといて」

 前へ動こうとする美弥を、忍足はしっかり抱きとめた。

 「あっ・・・」

 美弥がびくりとして背をのけぞらせる。



 「だ・・・も・・・だめ・・・」

 「美弥。もう・・あかんの? オレはもうちょいこのままでもえぇよ」

 「あ・・・ッ」




 「・・・美弥・・・えぇよ」









 忍足の動きが激しくなり、二人の身体がぶつかる音が室内に響く。



 「んはっ・・・!」
 「あっ










 忍足は美弥の背中に優しいキスをした。





* * *





 ベッドに沈む二人の素肌をシーツが包みこむ。

 「美弥。寝とき」

 忍足は美弥の頭をなでながら、涙がにじむ目元に口付ける。その優しい施しは、美弥を眠りにいざなう。





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