HAPPY BIRTHDAY








 今日は、待ちに待った、先輩の誕生日、先輩とオレがつきあい始めて最初のイベントだ。放課後、二人で出かける約束をしてる。



 校門に入ってく先輩を見かけて、オレはお祝いの気持ちを伝えようと走り出した。
 と、向こうの方から「身軽な先輩」と「目が鋭い先輩」が、先輩を追いかけるように校門を入ってった。

 「乾ぃー、誕生日おめれとうっ!」
 「やぁ、菊丸。知ってたんだ、オレの誕生日」
 「そりゃね。同期だもんにゃ」
 「乾、おめでとう」
 「ありがとう、不二」

 先輩お祝いムードが、追いついたオレの目の前で繰り広げられてる。
 こんなだったら夜中にメール送っとくんだった・・・。でも、直接言いたかったんだ。なのに、菊丸先輩と不二先輩、二人もの人間に先越されてしまった・・・。


 「やあ、海堂」


 オレはビクッとして顔をあげた。
 不二先輩がオレに気付いて声をかけ、その声に菊丸先輩と乾先輩が反応してオレの方に向いた。 オレとしては気まずくて、顔を背けてしまった。誰とも顔を合わせたくなかった。ちょっと校門の陰で、先輩たち全員が消えるのを待っていれば良かった・・・。


 「海堂、おはよう」


 先輩はそう言って、オレに近寄り、二人の先輩からカバーするかのように立った。
 そうして、右手をオレの頭に載せた。

 「・・・ッス」


 「乾、じゃあ、ボクたちは先に行くね」
 「あぁ」
 「ほら、英二。行くよ」
 「うん。乾、海堂、まったね〜」

 不二先輩と菊丸先輩が校舎に入っていった。
 オレは先輩と向かい合ってはいるが、顔をあげられない。

 言葉が出てこなかった。
 誕生日おめでとうございマス、って、一番に言いたかったのに・・・。


 「海堂、どうした?」



 「・・・い、言いたかったッス・・・誰よりも先に」



 先輩の手がオレの頭をなでた。



 「1番であるかどうかは関係ないよ。海堂が覚えてくれてたってことの方が大事で、俺は嬉しいよ」

 「先輩っ!・・・お誕生日、おめでとう、ございます・・・」

 「ありがとう」

 先輩の両手がオレの頬を包んだ。





 先輩のキスが優しくて、くすぐったくて、気持ち良くて、甘くて・・・。

 「海堂、ごめん。放課後までガマンできない」

 「えっ・・・!」

 先輩はオレを引っ張って・・・また理科室に連れていかれるんだろうか・・・?
 拒む理由なんて・・・ねえ。







0001

 「乾」です!!!!!
 仕事で物販用海産物を仕入れた際に、商品が入っていた箱。
 萌え〜。
 スタッフに写メでとってもらったのだけれど、何のためにとったのか、わからないに違いない。ごめんね〜&ありがとう。


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