うそつき








 リョウは、傍らで眠っている美弥を右腕で抱き寄せた。

 「ん、リョ・・・なっ」

 頭がリョウの胸に強く押し当てられ、突然に眠りから覚まされた美弥は、何が起きたのか、把握することができなかった。
 頭を抱く腕の力が緩むのを感じた美弥は、リョウの顔を見た。

 「リョ、リョウ・・・?」



 見つめられ、美弥は、背中にゾクリとした感覚が走るのを感じた。















 「リョウのうそつき・・・

 「さぁてな。・・・なる時にはなるもんだぜ」



 リョウは、美弥の頭をなでながら、唇、目元、まぶた、鼻と、あらゆるところに唇を落とす。唇を離すたびに、小さな音が響く。
 美弥は、キスの心地よさにたゆたうように、いつしか目を閉じていた。


 「オレにキスされるのはイヤか?」

 美弥は、そっと目を開けると、首を横に振った。

 「いい子だ」

 そう言うと、美弥の唇に自身のそれを押し当て、舌先を美弥の口に入れた。
 驚きで見開いた美弥の目を片手でそっと閉じながら、歯をなぞり、美弥の舌に触れ、口内を触り、唇の裏側で美弥の唇をはさんだ。
 美弥はされるがままに、固く目をつむっていた。






 リョウはパジャマのボタンを外す。顔、首筋へキスをしながら、あっという間に美弥を裸にし、自身も何もまとわない姿になると、横たわる美弥の肢体をじっと眺めた。



 「・・・やっ・・・見ないでっ。恥ずかしいっ

 「きれいだぜ」



 美弥の体に手をはわせる。
 首筋から胸元へ。
 美弥の、形の良い、片手におさまる胸を優しくなでる。そして、胸の頂を指先で触れた。

 「ひやっ・・・」

 美弥は自然と全身を緊張させた。
 リョウは美弥の口を自身のそれでふさぎ、胸から腰骨にかけて丁寧に触りながら、美弥の緊張を解こうとする。
 美弥は、経験したことのない、熱を持つようなゾワリとする感覚を内股に覚え、思わず両膝を寄せ、固く閉じた。
 その瞬間をリョウは見逃さず、美弥の膝を割ると、そこへ自身の体を置き、美弥に覆いかぶさる。



 「ぁ・・・」

 美弥は内腿に硬いものが触るのを感じ、思わず声を出した。

 「ん?」

 戸惑うような表情を浮かべた真っ赤な顔は、リョウの視線から逃れようと横を向いた。



 「・・・そういうものだ」

 苦笑いしながら美弥の目をのぞきこむ。

 「美弥。大丈夫だ。オレだから」



 リョウは、美弥を安心させるように頭をなで、前髪をかきあげると、おでこにキスをした。
 リョウの手が、胸をつたって美弥の秘所にふれた瞬間、美弥の体が小さくはねた。

 「やっ・・・」

 リョウが指でまさぐれば、柔らかく閉じられたそこからは蜜があふれ、周辺を濡らす。

 「十分だ」

 リョウは、優しくなでまわした。

 「あっ・・・ん・・・」



 おでこからほお、首筋へと唇を這わせ、胸の頂きを舌先でころがしながら、花芯を上下させる。

 「あっ!・・・はんっ・・・」

 美弥は、体の芯が熱くなり、溶けてしまいそうな感覚に翻弄された。リョウの頭をかき抱き、髪の毛を指にからめ、経験したことのない感覚を散らそうとしていた。



 リョウは美弥の足を広げ、繁みに顔を落とす。

 「やっ、見ないでっ!」

 ピンク色が鮮やかな花芯に、舌先が触れた。

 「あっ・・・いやっ」

 美弥が恥ずかしげにあげるその声は、リョウを刺激した。
 リョウは花芯をなめ、時に吸い上げる。それを繰り返すと、濡れた陰部に唇を移し、舌先を入れた。
 「あっ」

 美弥が切なげな声をあげる。

 舌先で内壁をなぞれば、美弥はリョウとつないでいる手に力を入れた。

 「あっ・・・んはっ・・・だめっ」

 新たな蜜があふれ出る。

 「はぁ・・・っん・・・」

 美弥の体は、じわりと汗ばんできていた。
 目には涙がたまっていた。



 「リョ、リョウッ・・・。も、もう・・・だめ・・・」

 リョウは顔をあげ、美弥の上に覆いかぶさった。



 「泣くな・・・」

 「だって、涙、出てくるんだもん・・・

 リョウはあふれ出る涙をぬぐい、美弥の頭をなでた。なでながら、美弥の膝を持ち上げた。
 その瞬間、美弥の体が強張る。

 「大丈夫だ。オレを信じなさいって」

 「・・・リョウ、うそつきだから」

 「うそつきは、ただ、相手に悲しい思いをさせるだけだ」

 そう言って、リョウは立ち上がっている己を美弥の陰部に押し当てた。
 美弥の緊張を解こうと、戸惑う美弥の顔をそっとなで、体にくちづける。



 「いたっ・・・」

 美弥は声をもらした。
 痛さに顔をゆがませ、時折声をあげる美弥を愛おしく思いながら、その苦痛を引き受けるかのように深い口付けをし、花芯をなぞりながら己を美弥の奥までゆっくりと入れてゆく。
 最奥まで入れたリョウは、美弥の腰を支え、一息もらした。

 「まだ、気持ちよさはないかもしれないな」

 何が起きているのかわかっていないかのように、美弥の口は軽く開き、目は見開いていた。
 リョウは腰を動かした。数回浅く突き入れ、一度深く入れる、そしてギリギリまで引き抜く。その動作を繰り返すと、美弥の体が変化してくることがリョウにはわかった。膣内の己にまとわる蜜が、濃さを増していた。
 動きに合わせて、つなぐ美弥の手に力が入るのを、リョウは感じていた。

 「感じるか?」

 「あっ・・・はん・・・」

 美弥の声が、リョウの欲情を高めた。
 リョウは美弥の頭の中を翻弄させるかのように、激しく腰を動かした。肌が打ちあう音が、美弥の羞恥心をあおり、また、リョウの気持ちを高めた。



 「あぁぁぁっ」

 「ん・・あっ・・・美弥っ!」





 リョウは美弥の中へ、己を散らした。
 白濁した液体が結合部から流れ、ベッドを汚す。
 リョウは数回ゆっくりと腰を動かし、そして、引き抜いた。





 リョウは美弥に覆いかぶさり、流れる涙を吸った。





 美弥はリョウの首に腕をまわすと、頭を引き寄せ、リョウの唇に軽く口付けた。
 それは、初めての美弥からの口付けで、リョウは不意打ちをくらったかのようなキョトンとした表情で美弥を見つめた。


 「リョ、リョウ・・・?」

 「ん? あ、あぁ・・・オレはうそつきじゃないだろ?」

 美弥はコクンとしっかりうなずいた。















 「どうだった?」

 「・・・びっくりした」

 美弥らしい答えに、リョウは微かに笑った。





 美弥は、リョウの腕の中で深い眠りに入っていった。









 カンベエ×美弥話を書いていたら、思ったより進んでしまい(←何が?)、さすがおっさま、なのですが、それだけで済ませてしまったらリョウの立場が・・・と思い、書いてみました。だって、一緒に寝る日々(「静かな夜」)の中でリョウが何もしないのはヘンだし、美弥に魅力はあるので(笑)、どうせならこの機会に、と・・・。更新するのも、カン×美弥より先です。
 "美弥からみたリョウ"とか、触れていないことはたくさんあるのですが、書くのも美弥も初めてなので(笑)、突っ込みは一切なしで!



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