相思相愛










「美弥、知っておるか?」
「何でござりましょう?」
「十二月二十五日は、くりすますというそうだ」
「まぁ・・・どのような字を書くのでしょうか?」
「苦。・・・離。・・・守。魔・・・・棲・・・。といったところであろうか?」
「なにやら、恐ろしい雰囲気のする日でござりますな。あらゆる苦難が待ち受けておるのでしょうか」
「いや。よくはわからんが、祝う日だそうだ」
「その字でお祝いごとでござりますか!? 殿はどちらで、その、くりすますということをお聞きになったのです?」
「城下で話題になっておった」
「殿、お聞きになってみたらよろしかったのに」
「ワシが知らぬことは、そなたにしか聞けんっ」
「お祝いごと・・・何か、おめでたいことなのでしょうね」
「うむ」
「おめでたいといえば、誰かのお誕生日とか・・・?」
「うむ。しかし、儂以外にめでたいヤツがおろうか?」
「デウスが生まれた日なのでは?」
「何、デウス?! 南蛮人の神のことか。それは聞き捨てならぬぞ、美弥。なぜそのデウスが生まれた日がワシよりめでたいのじゃ!」
「フロイス殿がおっしゃっていたではありませぬか、彼らは神と結ばれていると。彼らにとっては、殿よりデウスをお慕いしても仕方ありますまい。・・・ところで、何かをなす日なのでしょうか?」
「うむ、なにやら、うまいものを食すらしいぞ」
「では、お正月と同じですね」
「それから、祈るらしい」
「では、お盆でござりまするな」
「愛し合うらしい」
「それは常日頃」
「美弥・・・」

 真理へ近づいたり、はたまた遠く離れたりしてゆく、信長と美弥であった・・・。
 




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