織田家雑記1








お好み焼きを平らげる勝家。
「ウマイッ! 現代のこの食べ物は我が胃を満たす!」
「我が大坂の名物でござります。柴田殿が我が家臣となればお好きなだけ、召し上がることができましょう」
秀吉が茶々をいれる。
「何が、我が家臣、だ! たわけめッ。某の越前は鯖寿司、蟹と高級なものが揃っておるゆえ、そなたの口には合わないだろう」
「これ、其の方ら。食べ散らかすではないっ。其の方らに花火見物の雅はわからぬか。雅といえば、我が京は金平糖が食べた者の心を溶かすぞ」
「菅屋殿。菅屋殿まで加わってどうされます。この二人に惑わされておられますぞ」


ドパーン! ドドドドパーン! パパパパパーン!


大輪の花が咲く空は、夕焼けのように赤く、また、明るい。
にぎやかな家臣たちを眺める信長の傍らにある蘭丸がつぶやいた。
「なぜこんなに盛り上がるのか。しかも琵琶湖周辺の狭い地域の食べ物の話題・・・」
「良いではないか、お蘭。他愛ないことも良きこと。見よ、この大輪のはかなきこと。人生とはそうあるものだが、皆がまた儂の下に集まったことを嬉しく思うておるぞ」
身内に争いが絶えず、誰も信用ならなかった信長は孤独な世界で生きてきた。嫡男の元服に際し、「他人を信用するな、自分の眼だけを信じよ」と諭したと、蘭丸は聞いたことがある。
本当は、誰よりも愛情を欲し、誰よりも誰かを愛したかった人なのではないかと思う。
信長の気が安まることを祈り、蘭丸は信長の隣に立つ。





---あとがき
最近、殿が近い。
本当に殿の生まれ変わりなんじゃないか、と思うこのごろ。
かなり前の大河を5話分見たのだけれど、殿が残忍な人に描かれていて、、、。でも、対武田大軍団進軍に際し、「いたずらに兵を出せば失う。三河領地に入る前に将軍に和睦を入れろ。領地に入ってからでは和睦ではなく降伏になるからダメだ。和睦してくれれば人質を出してもいい。領民を救え山河残るなら切腹してもいい」なんて、ちゃんと何が大切かわかっているのですよ! 優しくはないかもしれないけど(ナカジには優しいv)、誰にも理解されない場所(ステージ)で領民や国のことを考えていた素晴らしい人なのですv。
この一言で、彼が重ねてきた戦をいかに分析し、データ化していたかわかるというもの。





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